ロゴ

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 消化器外科学
岡山大学病院 消化管外科 肝・胆・膵外科 小児外科

お問い合わせ

ABOUT US

岡山大学消化器外科学教室とは

消化器外科学 教授

急速に変化する医療環境に柔軟に対応し、これからも若い外科医が新しい希望を感じ自由な雰囲気の中でそれぞれのゴールを目指せるよう、活気がある元気で魅力的な教室作りを心がけてまいります。

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
消化器外科学 教授
藤原 俊義

岡山大学医歯薬学総合研究科 消化器外科学分野のホームページを訪れていただきありがとうございます。2010年(平成22年)から教授として教室を主宰させていただいておりますが、早いもので10年が経過しました。その間、教室では患者さんのニーズに合った先進的な医療を提供し、地域医療を支える医療人を育成することに尽力して参りました。


時代は「平成」から「令和」へと移り、明るい未来を喜んだ矢先に今、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックという未曽有の惨事を経験しています。こういった難局を乗り切るには、新しい環境や多様な状況に対してしなやかに対応できる力、すなわちレジリエンス(resilience)が必要です。そして、その力を発揮するためには、自分の価値観を持った上で、しなやかに考え、人との繋がっていくことが重要です。


私たちの教室は、大正11年(1922年)に第一外科講座として開講され、2022年(令和4年)、開講100周年を迎えます。今までの100年、1100名を越える教室員の先生方が、世代を越えて繋がり、長い歴史と伝統を培ってこられました。100年を越えてもなお、これからもこの繋がりを大切にして、教室の発展と飛躍を目指していく所存であります。


私たち消化器外科学分野は、診療科としては消化管外科、肝・胆・膵外科、小児外科を担当しております。患者さんにとって「安全で安心な外科診療」を実践すべく、消化管外科は私が、肝・胆・膵外科は八木孝仁教授が、小児外科は野田卓男教授が診療科長を務め、責任を明確にした診療体制を整備しています。また、岡山大学病院内に「低侵襲治療センター」や「臓器移植医療センター」を拡充することで病棟スタッフを充実させ、関連病院との連携で大学院生を増やすことで病棟を活性化し、医局や研究室のインフラを常にアップデートすることで明るく働きやすい環境を整えています。


食道外科では、年間120例を越える食道癌手術および年間50例ほどのロボット支援手術の実績から、2020年8月に新たに大学病院内に「食道疾患センター」を設立しました。胃外科では、腹腔鏡下噴門側胃切除後の観音開き法(上川法)再建の定型化と普及を目指し、多施設共同前向き臨床試験(lD-FLAP Study)を実施しています。大腸外科、肝・胆・膵外科では、新たに直腸癌手術ならびに膵頭十二指腸切除術にロボット支援手術を導入いたしました。そして肝移植では、国内初となる脳死からの肝腎同時移植を成功させ、2017年に1996年以降400例を達成しています。小児外科でも、高難度の小児気道手術を導入したり、鏡視下手術を積極的に推進してきています。


研究においては、がん微小環境研究やプレシジョン医療研究、そしてがんウイルス療法研究など多岐にわたる分野に取り組んでいます。産学連携として岡山大学発バイオベンチャー オンコリスバイオファーマ株式会社と共同で開発してきたがん治療用ウイルス製剤Telomelysinに関しては、厚生労働省の「先駆け審査」の対象となり、製薬企業にライセンス導出することができました。2020年には、食道癌に対する企業治験が始まっており、また米国食品医薬品局(US FDA)から「オーファンドラッグ指定」を受け、実用化に向けた開発の加速が期待されています。今後も、教室の伝統であるトランスレーショナル・メディシン(探索的医療)から臨床研究、臨床試験まで、がん診断・治療、再生医療など幅広く新たなエビデンス創出を積極的に推進していきたいと思っています。


私たちは、急速に変化する医療環境に柔軟に対応し、これからも若い外科医が新しい希望を感じ自由な雰囲気の中でそれぞれのゴールを目指せるよう、活気がある元気で魅力的な教室作りを心がけてまいります。10年前に教室の目標と掲げた「イノベーションによる新たな外科の創生」と「優秀な若い芽が地域へ、そして世界へ飛躍できる環境作り」の実現を目指して教室員一同頑張って参りますので、今後ともなお一層のご指導・ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。


2020年(令和2年)10月


岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
消化器外科学 教授
藤原 俊義

VISION

教室の概要・方針(理念)

理念

病気と闘う人々と希望や感動を分かち合う

Feel empathy for people fighting illness

ビジョン
  • ・患者さんのために安全で安心な外科治療、先進的な高度医療の提供
  • ・研修医、医学生の育成のために魅力あるプログラムと環境の整備
  • ・医局員、スタッフの活気があふれ、元気が出る外科教室を運営

診療体制

診療体制

研究体制

研究体制

HISTORY

歴史

岡山大学医学部の起源は1870年の岡山県藩医学館の創設に始まり、1922年に岡山医科大学に昇格した折、 赤岩八郎教授の就任により第一外科教室(現:消化器外科学)は開講された。

初代 赤岩八郎 教授

1922

1922年~1928年

初代教授 
赤岩 八郎

岡山医科大学の初代外科教授として1922年に第一外科学教室を開講し、腹部外科を開拓。最新式大手術室および冷凍室兼氷室を設営し整備した。脳外科、胸部外科、胃腸外科、胆道外科と研究領域は多岐に渡り、1927年九州大学第一外科の教授として転出。

第2代 泉伍朗 教授

1928

1928年~1933年

第2代教授 
泉 伍朗

1923年金沢医科大学(現 金沢大学)第二外科学の初代教授に就任後、内臓外科の権威として胃、胆嚢、脾臓を中心とした内臓外科の診療、研究を行い、1928年岡山医科大学教授に就任。1928年4月の第29回日本外科学会総会において、「脾腫について―外科的方面」と題して宿題報告を担当し、発表した。

第3代 石山福二郎 教授

1933

1933年~1941年

第3代教授 
石山 福二郎

多数の教室員を集め、病床数は一時120床を超えるまでになり隆盛の一途をたどった。1938年、第39回日本外科学会総会において「急性肺虚脱」の宿題報告を行うなど、研究面は多岐に渡った。1941年赤岩教授の後任として九州大学教授で転出。

第4代 三宅博 教授

1941

1941年~1947年

第4代教授 
三宅 博

太平洋戦争が拡大する最中、人的ならびに物的困窮の時代であったが、医局員の教育、研究指導に熱心にあたった。胆石症を主体とした研究や、神経支配の研究ではBielschowsky変法三宅氏法を開発し、偉大な業績を挙げた。1947年石山教授の後任として九州大学教授で転出。

第5代 陣内傳之助 教授

1947

1947年~1963年

第5代教授 
陣内 傳之助

胃癌外科の発展の基礎を構築し、がん占拠部位によるリンパ節転移、進展機序の研究を行なう一方、多数の教授を輩出した。1962年胃癌研究会(現 日本胃癌学会)を発足させ、当時の全国の大学医学部や医科大学間のセクショナリズムの壁を打破し、他領域の癌腫の取り扱い規約が確立される基となった。1963年、大阪大学第二外科教授として転出。

第6代 田中早苗 教授

1963

1963年~1978年

第6代教授 
田中 早苗

1966年脳神経外科の設置に伴い、西本教授以下十余名が転出し、癌の研究に絞られ、腫瘍免疫から移植免疫へと研究をひろげ、1974年には腎移植を開始した。胃癌のリンパ節転移研究や小児外科領域における胆管嚢胞の戸谷分類の提唱、乳癌ホルモン療法の研究など業績は多岐に渡った。

第7代 折田薫三 教授

1978

1978年~1996年

第7代教授 
折田 薫三

癌の特異的細胞性免疫に着目し、腫瘍免疫の研究を進めた。また、1974年に生体腎移植の第1例目を行い、1977年には西日本初の死体腎移植を行った。胃癌の外科治療にも注力し、新たなリンパ節郭清術式を確立し1994年岡山にて第32回日本癌治療学会を主催した。

第8代 田中紀章 教授

1996

1996年~2009年

第8代教授 
田中 紀章

先代の折田教授の流れを引き継ぎ、腫瘍免疫、移植免疫の研究を進め、1996年に現肝胆膵外科八木孝仁教授らとともに生体肝移植を成功させ、中四国領域での肝移植の中心的地位を確立した。また、現消化器外科藤原俊義教授が導入したがん遺伝子治療の国内臨床試験を積極的に推進した。

第9代 藤原俊義 教授

2010

2010年~現在

第9代教授 
藤原 俊義

本邦初となるがん遺伝子治療の臨床試験を推進し、トランスレーショナルリサーチを実践。2002年には抗腫瘍ウイルス製剤(Telomelysin)を開発し、2004年岡山大学発ベンチャー企業「オンコリスバイオファーマ」を設立。2006年に米国、2013年には本邦にて第I相臨床試験を行い、その安全性と有効性を確認し、臨床応用を目指している。臨床では2012年に低侵襲治療センターを設立し、鏡視下手術からロボット支援下手術に至る低侵襲手術の導入と普及に努めている。