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岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 消化器外科学
岡山大学病院 消化管外科 肝・胆・膵外科 小児外科

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EDUCATION

教育・研修

医学部生教育イメージ図

医学部学生教育

外科の魅力を伝える参加型臨床実習の実践

昨今の本邦医学教育レベルの更なる向上や実践的な医学教育が求められる中、当教室では5年次に基本実習2週間、6年次に希望学生による選択実習4週間の臨床実習を行っております。選択実習には例年40名を超える学生が外科へ興味を持って選んでくれ積極的に学んでいます。
当教室の特徴としては、見学型の実習ではなく、実地臨床や手術手技に主体的実践的に関わる「参加型臨床実習」を10年来行ってきております。指導医とマンツーマンで実際の外科医の日常を体感しながら、手術はもちろん、術後採血やドレン管理、術前術後カンファレンスなど指導医のもと積極的に参加してもらい外科の魅力・やりがいを伝えております。さらに、食事や指導医とのミーティングを介して学生の進路相談にも密に関わり合いながら、日本の外科医療を支える技術と心を持った外科医を多く輩出できるようきめ細やかなサポートを教室挙げて取り組んでおります。

研修医教育

心通じる仲間を育む
~時代が求める外科医の養成を目指して~

● SpecialtyとGeneralityの両立

SpecialtyとGenerality。ともに外科医に求められる重要な資質です。近年専門性はより細分化され、より高次の技術と知識が求められるようになってきています。当教室は、岡山大学病院を中心に中四国の多数の基幹病院に、各領域のSpecialistを数多く有しており、外科を目指す研修医にも質の高い外科研修を提供することができます。一方で、急速に少子高齢化の進む日本においては、医療の機能分化と連携推進を目指す地域医療構想が掲げられ、地域医療の充実が求められています。地域の医療機関では、少数の医師で多くの併存疾患を有する高齢者や外傷を含めた救急疾患に対応する必要性があるため、よりGeneralな知識と対応力が求められることになります。当教室では、中四国を中心に地域医療に従事する関連病院を数多く有しており、これらの関連病院と連携の上、研修医に充実した地域医療研修を提供することが可能です。

SpecialtyとGeneralityを、一人の医者が高いレベルで両立させることは困難な時代となってきています。しかしながら、研修医にはこの両方の重要性を教育し、その研修医の希望や素質から、それぞれの研修医に適したキャリアパスを提供できるように心掛けています。その結果として、SpecialtyとGeneralityを高いレベルで両立させた医療を、地域全体として提供できる体制を理想と考えています。

研修医教育イメージ図

● シームレスな外科研修

外科を目指す研修医のキャリアパスとして、医学部卒業後、2年の初期臨床研修を経て、新専門医制度における外科専門研修に入ります。その後、多くの外科研修医は消化器外科などのサブスペシャルティ研修を行い、一部の者は内視鏡技術認定医や食道専門医、肝胆膵高度技能医などを目指してより高次の専門研修を行います。このようなキャリアパスを効率的なものとするためには、様々な情報提供とそれに基づいた選択肢の提示、人間関係の構築に配慮した指導体制が欠かせません。

岡山大学では、効率的な外科研修をサポートする体制として、2010年より外科マネージメントセンター(外科MC)を稼働しています。外科MCは、消化器外科(旧第一外科)、呼吸器・乳腺内分泌外科(旧第二外科)、心臓血管外科の外科系3教室が連携して設立したもので、外科を目指す研修医にとって、外科研修の入り口としての役割を果たしています。外科を志望する時期は人によって様々であり、門戸は広く医学部生の時期から登録可能としており、会員は研修に関する情報提供、キャリアパスや研修先の相談、各種研究会やトレーニングの案内を受けることができます。新専門医制度おいて、岡山大学が提供する「岡山大学広域外科専門研修プログラム」も、外科MCを基盤として作成されたものであり、その後のサブスペシャルティ領域への連動研修も含め、研修医にとって、外科を志望したタイミングから、シームレスで効率的な外科研修を受けることが可能な体制を構築しています。

研修医教育イメージ図

大学院教育

がんの診断、治療、再生医療に至るまでダイナミックな研究を展開

■大学院での学びについて

手術手技の習得は外科医にとって最も重要な目標です。では、大学院で研究を行うことの意味はなんでしょうか。科学的思考を身につけることの意義はなんでしょうか。われわれは大学院での学びを通じて、常に主体的に考えて行動し、現在の医療における課題を認識し、科学的思考に基づいてその課題を解決する能力を身につけた外科医、「Academic Surgeon」の育成を目指しています。


■大学院での研究について

博士課程には、一般コースやがんプロフェッショナルコースなどがあります。消化器外科には主に6つの研究分野があり、研究グループの指導医と共に研究課題に取り組みます。研究課題に関する知識の習得や各種実験を通じて研究課題を解決できる能力を養います。


1. 複合ウイルス療法研究 2. がん微小環境研究 3. 好中球・がん病態研究
4. プレシジョン医療研究 5. ナノメディシン研究 6. がん腹膜播腫治療研究
岡山大学消化器外科学教室の研究はこちら


・大学院に関連するサイトについて
1. 消化器外科学シラバス
2. 中国・四国広域がんプロ養成コンソーシアム

留学

教室としてこれまで
多くの留学経験があります

加藤 卓也平成19年卒(2007年卒)

私は2019年6月より米国東部、メリーランド州の米国国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)に留学させて頂いています。NIHは豊かな自然溢れる広大な敷地内に70以上の建物が並んでいる米国最大の医学研究機関です。その中にある国立がん研究所で、小林久隆先生の元、新規がん治療法として注目され国際第III相治験が進行中である、光免疫療法 (Near Infrared Photoimmunotherapy: NIR-PIT)の研究を行っています。当研究室は現在1人の医学生研究員を除けば、6人がすべて日本人研究者です。留学環境としては疑問もありますが、彼らの研究に対する熱意は強くまた彼らの知識、意識の高さに圧倒されつつも、日本語での深い議論が可能であり、少しずつではありますが自分の成長を感じられています。私は家族(妻と子供2人)で同時に渡米したため、子供の現地校のイベントや、バースデーパーティに招待されたりと家族を通じてラボでは味わえない異文化交流が非常にいい経験となっています。また、首都ワシントンDCに近い事、NIH自体が巨大な施設であることから他の日本人留学生・駐在員との交流も非常に刺激的です。特に官庁や企業といった医療系以外の方との交流は今まで中々出来なかった経験だと感じています。留学は決して楽ではありませんが、それ以上に得られる知識・人脈・経験は何にも代え難いものがあると感じています!留学生活が1年を超え、研究成果に対する焦りを感じつつも、臨床応用が可能となった際に少しでも患者さんに還元できることを夢見てNIHで日々精進して参りたいと思います。

Visiting fellowの仲間たちと(NIH Building10前)

Visiting fellowの仲間たちと(NIH Building10前)

日本人家族との交流会(アパート最上階にて))

日本人家族との交流会(アパート最上階にて))

賀島 肇平成21年卒(2009年卒)

留学先:Washington University School of Medicine in St. Louis, Division of Gastroenterology (米国、ミズーリ州、セントルイス)

研究内容:大学院では癌を取り巻く周囲の微小環境、その中でも特に線維芽細胞についての研究を行いました。「何となく顔つきが悪そう」な線維芽細胞増生を伴う食道癌を、科学的に解釈し、仮説を立て、実験を行い、新しい治療方法の可能性を見出す過程に大きなやりがいを感じました。留学先では、消化器癌の発癌機序を解明すべく、研究室で独自に開発した遺伝子改変腫瘍形成マウスを用いて研究を進めています。最新の機器による複雑なゲノム解析から、腫瘍をひたすら免疫染色するというおなじみの手技まで、実験内容は多岐にわたります。

留学生活:西部開拓の拠点として大きな発展を遂げたセントルイスは1904年には万博やオリンピックも開催されており、大変由緒ある都市です。モダンでスタイリッシュなダウンタウンと自然豊かな郊外をあわせ持つこの街で、週末を満喫しています。

大学院生,医学生へ:外科医としての研鑽をまだまだ実地で積みたいと考えていた私が、英語が得意でないにも関わらず、米国での基礎研究に挑戦しようと決意したのは、尊敬する先輩外科医の影響を受けたからです。そんなロールモデルと出会えるのが岡山大学消化器外科教室です。渡米後1年、山あり谷ありではありますが、有意義な留学生活を送っています。少しでも留学に興味がある方は、経験者から話を聞いてみるのがいいと思います。こういうところには書かれない貴重な情報も得られるはずです。

セントルイスの位置と写真

セントルイスの位置と写真

ワシントン大学ダンフォースキャンパスにて

ワシントン大学ダンフォースキャンパスにて

金谷 信彦平成22年卒(2010年卒)

私は、現在、米国マサチューセツ州ボストンにあるブリガム・アンド・ウィミンズ病院で、研究留学をしています。ボストンは、古き良き街並みが残るオシャレな街です。また、世界有数の学術都市で、ハーバート大学やMITをはじめとした一流大学が多数存在し、多くの学生や留学生がいます。個人的には、病院の目と鼻の先に、野球好きにはたまらないレッドソックスの本拠地「Fenway Park」があり、ヤンキース戦を始め、ビールを片手に、よく観戦しています。
私は、外科研修時代に、様々な疑問「Clinical question」を持ちました。そんな課題を解決するための論理的思考やアプローチを学びたいと思い、大学院進学、留学に興味を抱きました。私は、大学院時代、当教室で開発・臨床応用を目指している腫瘍融解アデノウイルスと免疫チェックポイント阻害剤の新規併用療法の開発に従事しました。研究成果をアメリカ癌学会で発表した際、研究のスピード・スケールに驚き、さらに留学への憧れを抱きました。
ボストンでは、そのウイルス製剤の全身投与の課題に対して、間葉系幹細胞をウイルスの運び屋として用い、さらに免疫刺激因子を産生する遺伝子改変幹細胞を作製し、より強力なウイルス免疫療法の開発をしています。新たなことにチャレンジできる反面、大学院生時と違って、結果責任をとても痛感します。ただ、出来るだけ臨床的な課題をまず考え、実験系を考えるように心掛けています。海外留学は、大学院生時代に学んだことを実践する、いい機会だと思います。
将来、皆様と一緒に、医学の課題に対して、前向きに挑戦できるよう頑張ります。

ラボのみんなで仕事後にピクニック

ラボのみんなで仕事後にピクニック

熊野 健二郎平成18年卒(2006年卒)

私は2017年11月よりテキサス州ダラス市のベーラー大学メディカルセンターに研究留学しています。 私の所属するラボはIslet Cell Laboratory (膵島研究所)で、臨床自家膵島移植と膵島移植に関する橋渡し研究の両方を行っています。 アメリカでは現在、内科的治療が無効の難治性慢性膵炎患者を対象とした膵臓全摘+自家膵島移植(Total Pancreatectomy With Islet Autotransplantation; 以下TPIAT)が保険適応となっており、全米20施設以上で行われています。 当ラボでは摘出された膵臓を受け取り、膵島抽出を行った後、術中に門脈に挿入したカテーテルを通して膵島を注入しています(移植された自己膵島は肝臓の門脈内に生着します)。 TPIATにより膵全摘後の糖尿病発症をある程度防ぐことができ(約3分の1の患者が術後インスリン補充治療を必要としない)、疼痛コントロールに関しても良好な成績を上げています。当ラボでは2006年からTPIATを開始し、2020年9月現在までの症例数は198人に上ります。 その豊富な症例データを用いた統計学的解析に始まり、より効率的な膵島抽出法や新たな移植方法の研究、抗炎症治療プロトコールの新規開発、さらにはβ細胞のストレス障害や膵島障害の分子メカニズム解明といった研究まで幅広く行うことで、これまで多数の論文を発表しています。 現在、ラボの日本人は私だけですが、ラボ発足当初より日本人が常に在籍しているため、ボスの日本人に対する理解も高く、非常に居心地がよい環境です。 ダラスは気候がよく、日本人も多く住みやすいので、膵島移植に興味がある方はぜひ当ラボに研究留学される事をお勧めします。

熊野先生 写真1

熊野先生 写真2