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岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 消化器外科学
岡山大学病院 消化管外科 肝・胆・膵外科 小児外科

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CLINIC

臨床 肝・胆・膵外科

ロボット手術から肝移植まで
高度な技術で、最新・最善の外科治療を患者さんに

岡山大学病院 肝胆膵外科の強み

岡山大学病院 肝胆膵外科は、診療科長 楳田祐三を中心に4名の高度技能専門医がスタッフとして在籍し、年間約120件の肝切除、80件の膵切除、20件の肝移植を手掛け、日本肝胆膵外科学会が定める高難度手術件数は年間150-180件と、中国・四国地方トップクラスの手術実績を持つHigh volume centerです。
肝胆膵がんは、手術の難易度が高く難治性がんが多いことが特徴ですが、関係各科と緊密な診療連携を構築し、患者さんに最適で質の高い外科治療の提供を心がけています。他院で切除不能とされるような進行がんも積極的に受け入れ、豊富な手術経験と肝移植で培った高度な手術手技を駆使して、手術の可能性を追求しています。
また術後は、周術期管理センターと連携し、安全で早期の術後回復を目標とします。
こうした診療連携・チーム医療によって、良好な手術成績とがん治療予後を堅持できていることが、私たちの強みです。また近年は、低侵襲手術(ロボット手術・腹腔鏡手術)に力を入れており、小さな傷で術後の痛みも少なく早期の回復・退院が可能となっています。特にロボット肝胆膵手術は、2020年の導入以来、100例以上の経験を持つ肝切除・膵切除・胆管拡張症手術の全てを行う最先端施設です(http://www.omit-okayama-u.com)。

他院で「手術不可能」と判断されても、岡山大学病院 肝胆膵外科であれば、「手術への道が拓ける」ことがあります。
「開腹手術」と言われても、「開腹しない低侵襲手術」ができるかもしれません。また進行・再発がんにおいては、手術のみならず、がんゲノム検査を踏まえた最新の薬物療法や放射線治療を含めた集学的がん治療で、患者さんに「最も適した効果的な治療」へとつなげます。
私たちは、患者さんにとっての最後の砦として「最善の外科治療、最後まで諦めない外科治療」をモットーに、強い気持ちを持って診療にあたっています。県内外より広く患者さんを受け入れておりますので、遠慮なくお問い合わせ・ご相談ください。

岡山大学病院 肝胆膵外科における手術件数の推移

岡山大学病院 肝胆膵外科における手術件数の推移

肝移植

内科的治療が不可能な末期肝硬変や急性肝不全に対する最後の救命手段が肝移植です。
肝移植の適応疾患は、主にウイルス性肝硬変、非アルコール性脂肪肝炎やアルコール性肝硬変、胆汁うっ滞性肝硬変、急性肝不全(劇症肝炎)、先天性胆道閉鎖症、代謝性肝疾患(Wilson病など)になります。
岡山大学では、’96年に第一例目の生体肝移植を施行して以来、’10年には中国・四国地方初となる脳死肝移植、更に’12年には本邦初となる脳死肝腎同時移植手術に成功しました。四半世紀にわたる’22年までの総肝移植数は489例となりました(生体移植438例、脳死移植51例、全国6位)。
近年は、腎障害を伴う重症例や再肝移植が増加する中でも、肝移植後1/5年生存率は 88.9/81.3%と全国平均を上回る成績を堅持しており、瀕死の状態にあった多くの患者さんが無事に社会復帰しています(https://www.okayama-u.ac.jp/user/hospital/index181.html)。

肝移植件数の推移

肝移植件数の推移

肝移植後レシピエントの生存成績

肝移植後レシピエントの生存成績

原発性肝癌、転移性肝癌

肝臓癌には、肝臓自体の細胞が癌化してできる原発性肝癌と、他臓器がんからの転移による転移性肝癌があります。原発性肝癌はさらに、肝細胞に由来する肝細胞癌と、胆管上皮に由来する肝内胆管癌に分けられます。
肝細胞癌では、背景に肝臓を患っていることが多く、肝機能が安全に手術を乗り切れるかどうかを規定します。術前に最新のシンチグラフィー検査で肝機能評価の精度を高めるとともに、3Dシミュレーションソフトを駆使して、患者さんの特性と病状に合わせた最適な術式を決定しています。
また、他施設で切除不能と判断されるような、手術アプローチが困難な腫瘍や巨大肝癌、門脈・下大静脈腫瘍栓を伴うような高度進行がんに対しても、肝移植で培った技術を駆使して安全に手術を実施しています。また通常治療が行えないような肝機能が不良な患者さんには、肝移植を行うことで背景肝疾患ごと肝癌を根治的に治療できることもあります(肝細胞癌で個数・大きさなど保険適用基準あり)。

高難度肝切除 - 尾状葉肝癌 -

高難度肝切除 - 尾状葉肝癌 -

肝腫瘍に対する低侵襲肝臓手術

肝腫瘍に対する低侵襲肝臓手術

転移性肝癌の中心となる大腸癌肝転移においては、肝切除が最も治療効果が高い治療法です。つまり患者さんにとっては、手術できるかどうかで生命予後が大きく左右されます。
一般的に、重要血管への浸潤や転移個数が10個を越えるような高度進行転移、そして肝臓以外にも遠隔転移がある場合は、手術適応になりにくいとされています。岡山大学肝胆膵外科は、そのような切除困難な肝転移を積極的に受け入れ、がんゲノム解析・遺伝子解析を積極的に行い、患者さん個々に最適な薬物療法を効果的に組み合わせることで腫瘍縮小を得て、私たち独自の手術アプローチで切除に持ち込んでいます。また転移性肝癌では切除後の再発が問題となりますが、再発した場合でも、外科的再切除が長期生存や根治につながることが立証されており、二度三度と積極的に再肝切除を行うことで治癒を目指しています。
近年は、こうした原発性肝癌・転移性肝癌に対して、腹腔鏡下肝切除やロボット肝切除を積極的に行っています(http://www.omit-okayama-u.com)。

転移性肝癌に対する肝切除件数の推移

転移性肝癌に対する肝切除件数の推移

切除不能を切除可能に – Conversion surgery -

切除不能を切除可能に – Conversion surgery -

大腸癌多発肝転移に対する
岡山大学方式の手術アプローチ

大腸癌多発肝転移に対する岡山大学方式の手術アプローチ

胆道腫瘍

胆道癌は、肝門部領域胆管癌、胆嚢癌、遠位胆管癌、十二指腸乳頭部癌に分類されます。その中でも肝門部領域胆管癌は、大量肝切除を要することが多く、癌が広範囲に進展する場合には、肝切除に加えて血管合併切除や膵頭十二指腸切除を追加して行うこともあります。こうしたことから、肝門部領域胆管癌手術は、腹部悪性腫瘍手術で最も侵襲が大きく手術難度が高い術式に分類され、十分な設備と手術経験がある施設での手術が推奨されます。
私たちは、消化器内科・放射線科との緊密な連携で術前に精確ながん病巣の進展評価を行い、緻密な手術計画を立てて手術に臨んでいます。そして高難度・高侵襲手術であっても、肝移植で培った手術手技と丁寧な術後管理によって、安全に手術を行えることが強みです。また遠位胆管癌や十二指腸乳頭部癌は、膵頭十二指腸切除を要しますが、進行度に合わせて可能な限り低侵襲性を追求し、近年は多くの患者さんでロボット支援下膵頭十二指腸切除が可能となっています。

胆道癌に対する手術件数の推移

胆道癌に対する手術件数の推移

肝門部領域胆管癌に対する拡大手術

肝門部領域胆管癌に対する拡大手術

膵臓腫瘍

膵臓癌は難治性がんの代表ですが、近年その治療成績は向上しつつあります。
膵臓癌治療において根治を目指す上で最も重要なことは、化学療法と外科手術を組み合わせた集学的治療を適切に行うことです。私たちは、術前化学療法を積極的に導入し、腫瘍病勢を抑えた後に根治手術に臨む方針としています。また近年では局所進行癌で切除不能と診断されても、化学療法で腫瘍が縮小し、切除が可能となる(Conversion surgery)症例が増えています。
膵臓癌は、周囲組織へのがん浸潤から血管合併切除を要することがありますが、肝移植で培った手術手技によって安全に手術を遂行しています。膵臓癌に対する手術は高侵襲で手術難度・合併症率が高い術式でもあり、十分な症例数と設備がある施設での手術が推奨されています。
岡山大学病院 肝胆膵外科は、豊富な手術経験とともに消化器内科や放射線科、周術期管理センターと連携して万全の術後管理を行うことで、安全に手術を行い早期に回復できる診療体制を構築しています。
一般的に膵臓手術は、大きな切開創を要し体に大きな負担がかかる手術になりますが、2012年から低侵襲手術である腹腔鏡手術を導入し、2020年9月には、中国・四国地方初となるロボット支援下膵頭十二指腸切除術を導入しました。その後も安全に症例数を重ねることで、ロボット膵切除は定型化されました。最近は、全膵切除の半数以上、低進行度の胆道・膵臓・十二指腸腫瘍の殆どがロボット膵切除の適応となり、小さな傷で術後の痛みも少なく早期の退院が可能となっています(http://www.omit-okayama-u.com)。

膵癌治療成績の向上(切除可能膵癌 切除例)

膵癌治療成績の向上(切除可能膵癌 切除例)

 

切除不能膵癌に対するConversion surgery

切除不能膵癌に対するConversion surgery

ロボット支援下肝胆膵手術

ロボット支援下肝胆膵手術